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新ゴベースのロゴと使用例

公開 2026-07-20
COLLECTION 06 — 出典の確度(A=公式・準公式 / B=専門メディア / C=観察)を各事例に明記しています

新ゴは、1990年にモリサワが発表した和文ゴシック体です。写植からデジタルへの移行期に小塚昌彦氏がディレクションを手がけ、当時写研が展開していた「ゴナ」に並ぶ現代的なゴシック体として設計されました(この近さをめぐっては1993年に写研から訴訟を起こされてもいます)。癖のない均質な骨格は、企業のコーポレートフォントから公共交通機関のサイン、辞典の本文、日用品のパッケージまで、驚くほど広い場所で使われています。和文書体は名前を明かさないまま使われることが多く、見た目だけでの断定はリスクが高いため、今回はモリサワ公式などの一次資料で確認できた事例(A)に絞って集めました。

富士通(Fujitsu)確度A

富士通(Fujitsu)のロゴ使用例
画像引用元: モリサワ公式ニュース&プレスリリース のスクリーンショット(2026-07-19取得)

2022年1月5日、モリサワは新しいビジュアルアイデンティティを発表した富士通のコーポレートフォントに、UD新ゴ(新ゴのユニバーサルデザイン版)が採用されたと公式に発表しました。モリサワのリリースによれば、選定にあたっては欧文書体「Fujitsu Infinity Pro」との親和性に加え、「公共交通機関をはじめとする幅広い分野での使用実績」や「第三者による可読性に関するエビデンス」が評価されたとのことです。グローバル企業のコーポレートフォントという、もっとも公的な立場に新ゴの系譜が選ばれた事例です。

Nintendo Switch確度A

Nintendo Switchのロゴ使用例
画像引用元: モリサワ公式ニュース&プレスリリース のスクリーンショット(2026-07-19取得)

2017年5月25日、モリサワはUD新ゴが任天堂の新型ゲーム機「Nintendo Switch」のシステムフォントに採用されたと公式に発表しました。「視認性・可読性の高さが実証されている」ことが背景にあるとされ、以降は繁体字版なども加わりグローバル展開が進んでいます。世界中のプレイヤーが日々目にするメニュー画面の文字が、新ゴの子孫だったというわけです。

つくばエクスプレス(駅名標)確度A

つくばエクスプレス(駅名標)のロゴ使用例
画像引用元: モリサワ公式サイト(新ゴM 書体見本ページ) のスクリーンショット(2026-07-19取得)

モリサワの「新ゴM」書体見本ページには、つくばエクスプレスの駅名標が使用事例として掲載されています。2005年の開業にあわせて整備された駅サインの和文書体として、新ゴが選ばれたことがうかがえます。

JR西日本(駅名標)確度A

JR西日本(駅名標)のロゴ使用例
画像引用元: モリサワ公式サイト(新ゴB 書体見本ページ) のスクリーンショット(2026-07-19取得)

同じくモリサワの「新ゴB」書体見本ページには、JR西日本の駅名標が使用事例として掲載されています。国鉄分割民営化以降、各社が独自のサインシステムを整えていくなかで、新ゴは駅名標の和文書体として定着していきました。

川崎市公式サイト確度A

川崎市公式サイトのロゴ使用例
画像引用元: モリサワ公式サイト(UD新ゴR 書体見本ページ) のスクリーンショット(2026-07-19取得)

モリサワの「UD新ゴ」書体見本ページには、神奈川県川崎市の公式サイトがWebフォントとしての使用事例に挙げられています。誰もが読みやすくある必要がある行政サイトにも、UD新ゴは採用されています。

小学館「はじめての漢字辞典」確度A

小学館「はじめての漢字辞典」のロゴ使用例
画像引用元: モリサワ公式サイト(UD新ゴB 書体見本ページ) のスクリーンショット(2026-07-19取得)

モリサワの「UD新ゴB」書体見本ページには、小学館の児童向け辞典「はじめての漢字辞典」が使用事例として掲載されています。小学校低学年がはじめて触れる漢字の字面を、UD新ゴが支えています。

バルサン(レック)確度A

バルサン(レック)のロゴ使用例
画像引用元: モリサワ公式サイト(UD新ゴB 書体見本ページ) のスクリーンショット(2026-07-19取得)

モリサワの「UD新ゴB」書体見本ページには、レックの燻煙型殺虫剤「バルサン」が使用事例として掲載されています。企業ロゴや公共のサインだけでなく、家庭の棚に並ぶ日用品のパッケージにも、新ゴの系譜は入り込んでいます。

新ゴとよく間違えられるロゴ・書体

「あれも新ゴ」と語られがちなロゴやサインの多くは、調べると別の書体だったり、確証のないまま広まった話だったりします。代表例がセブン‐イレブンの店内サインです。現在の商品ブランドロゴには「たづがね角ゴシック」という別書体が使われており、新ゴではありません。似た骨格の現代的なゴシック体はすべて新ゴに見えてしまう、和文書体特有の混同です。

高速道路の案内標識も、新ゴが採用されたという説明をよく見かけます。NEXCOが公開している技術資料(道路行政セミナー2011年3月号)によると、新ゴは標識製作のデジタル化にあわせて2007年(平成19年要領化)に一度採用された書体でした。ただし2010年の視認性検討で改めて書体が見直された結果、ヒラギノ角ゴシックW5に置き換えられており(一部の標識には新ゴMが残っているとの記述もあります)、現在の高速道路標識の主な書体はヒラギノです。つまり「新ゴが採用された」という話自体は2007〜2010年に限れば事実で、「候補どまりだった」という理解のほうが誤りにあたります。

新ゴ自体、写研の「ゴナ」との近さを理由に1993年に訴訟を起こされた経緯を持つ書体でもあります。骨格の系譜をたどっていくと、「新ゴらしさ」がどこから来ているのか、線引きは思いのほか難しいものです。

掲載画像は各社公式サイト等のスクリーンショットであり、論評・研究のための引用です。各ロゴ・商標の権利は各社に帰属します。書体の特定は、出典を明記したもの以外は外観からの観察に基づきます。